SDGsの達成目標はなぜ2030年なのか?起こり得る問題から推察

2022/12/02 堀田 蔵人
SDGsの達成目標はなぜ2030年なのか?起こり得る問題から推察

出典:SDGsってなんだろう?|公益財団法人日本ユニセフ協会

「SDGsの達成時期はなぜ2030年なのか?」そうした疑問を抱いた方もいるのではないでしょうか。


SDGs(Sustainable Development Goals)とは、国連サミットで採択された2030年までの達成を期限とする、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。


なぜSDGs達成目標は2030年なのでしょうか。本記事では、SDGsの達成目標がなぜ2030年なのか経済・社会・環境の3分野から起こり得る問題を通して解説します。

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CONTENTS

SDGsはなぜ2030年までなのか?

SDGsには、MDGs(Millennium Development Goals)と呼ばれる前身があります。MDGsの後継として誕生したのがSDGsであり、2015年に国連サミットで採択され、2030年までに目標を達成するよう定められました。


現状のまま2030年を迎えてしまうと、さまざまな社会問題が発生するとされています。これらの問題は「2030年問題」と呼ばれ、主に経済・社会・環境の3分野に分けて考えることができます。

SDGs未達成の2030年における経済的問題

2030年までにSDGsが未達成で終わった場合、老年人口増加・生産年齢人口減少により日本の経済成長率は低下し、経済的問題につながると考えられています。

また、世界全体のGDPに占める日本の割合が減少の一途をたどり、世界経済の中で日本の存在感が希薄化、投資先としての魅力がなくなってしまうことも考えられます。

この章では、2030年に起こり得る問題を経済の観点から解説します。

日本人口は約1/3が65歳以上に

2030年には、日本の65歳以上の老年人口が約1/3増加するといわれ、15~64歳の生産年齢人口は減少すると予測されています。

2020年には老年1人を生産年齢人口の約2.1人で支えていましたが、2030年には老年人口1人を約1.9人の生産年齢人口で支える必要があります(注1)。


また、労働生産性の低下が問題視されています。労働生産性の低下は、日本の経済成長において大きなマイナス要因です。


世界の経済成長率が低下

2010年、世界の経済成長率は5%以上でしたが、これをピークとして、2015年には約3%まで低下しました。2030年、世界経済の中心は、欧米から中国・インドへ移行するとみられています。

2010年、世界経済に占めるシェアはアメリカが23.6%でトップ、続く中国・インドは合わせて22.1%でした。

2030年には逆転し、アメリカの20.2%を抜いて、中国・インドが合わせて33.7%になると予測されています(注2 p.3)。


世界経済における日本の存在感が低下

世界全体のGDPに占める日本の割合は減少し続けており、2000年時点では世界の10%を占めた日本の中間所得層の購買力は、2050年に向かうにつれ2~3%まで落ち込むとの予測です(注3 p.6)。



存在感の希薄化は、投資先としての日本の魅力が低下し、投資減少につながります。研究開発費用も減少し、イノベーションを創出するほどの多様な試みは困難になるでしょう。

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SDGs未達成の2030年における社会的問題

SDGsが未達成のまま2030年を迎えると、日本では人口減少、世界的には人口増加が要因となり、社会的な問題が生じると予想されています。

日本においては人口減少により過疎化が広がり、都心部との経済格差が拡大。世界では人口増加により資源や雇用が不足し、経済格差がより拡大する結果となります。


この章では、2030年にどのような問題が生じるかを社会的な観点から解説します。

過疎地域の増加

日本で人口増加を見込める地域は2%程度と予測されており、98%は人口が減少するとされています。人口規模が小さい地域ほど人口が減少しやすく、地方の過疎化が深刻化するといわれています(注4)。

すでに若年層の地方から都心部への流出が問題視されています。それに応じて地方の活性化が難化しており、都心部との格差も拡大するため、将来的には重大な問題になるでしょう。

IT人材不足による需給ギャップ

多様な分野においてIT化が急速に進んでいる一方で、IT人材の不足が問題となっています。経済産業省による推計では、2030年には最大約79万人もIT人材が不足すると予測されています(注5 p.17)。


人口減少に伴い新たなIT人材の確保が難しくなること、またIT人材の高齢化が進展することで、IT人材の不足が深刻化する見解です(注6 p.5)。

世界人口は85億人に増加

2030年には世界人口が85億人に到達し、2015年時点から11.5億人も増加すると予測されています(注2 p.3)。

世界人口が増加した結果、資源や雇用が不足するとみられています。資源の価格は高騰し、仕事に就けない人々が増加することで問題となるものが経済格差の拡大です。

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SDGs未達成の2030年における環境的問題

環境的問題については、地球温暖化に起因する問題の深刻化が懸念されています。

SDGsが達成されなかった2030年の地球は平均気温が1.5度上昇し、世界的な食料危機・水不足に陥り、異常気象が発生すると予想されています。


この章では、2030年に環境の面でどのような問題が起こるかについて解説します。


地球の平均気温が1.5度上昇

2030年における地球の平均気温は、産業革命以前より1.5度も上昇すると予測されています。

中でも海水面の上昇が深刻な問題とされ、今後対策に取り組んでも数百年は上昇を止められないといわれています(注7)。

海水面の上昇は、日本にも影響を及ぼし、砂浜が減少することや生態系・農作物への影響が懸念されています。


世界的な食料危機・水不足

地球温暖化に起因する異常気象の影響を受け、世界的な食料危機や水不足も深刻な問題のひとつです。


世界人口が増加する一方で、世界における1人あたりの穀物作付面積は減少し続けています。食料価格は高騰し、生命や生計に深刻な問題を抱える人々は増加の一途をたどっています。



また、2030年までに水の利用や管理を見直さなければ、世界中で水の入手できる可能性が40%不足するというリスクも問題です(注8)。


異常気象の発生

地球温暖化は、世界中に異常気象をもたらしています。日本でも、これまで多くの地域が台風や暴風雨などの災害に直面しました。

地球温暖化が進めば、これまで以上に異常気象が発生しやすくなり、災害リスクも高まります。

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SDGsを取り入れたESG経営のメリット

SDGsに関連し、企業の持続的な成長を目指すESG経営が注目されています。

SDGsの達成に関心が高まるなかで、利益だけを追いかける企業よりも、ESG経営を行う企業が重視され始めています。

ESG経営とは何か、どのようなメリットがあるのか見てみましょう。

投資家からの評価向上

ESG投資とは、環境・社会・ガバナンスに配慮した企業を評価し、投資先の企業として選択する投資方法を指します。



投資家にとって、リスクを抑えながら長期的に資産を形成できることはESG投資のメリットのひとつです。

また、ESGに配慮した企業への投資は、投資家にとって社会貢献ができる機会です。ESG経営に取り組む企業は投資家に評価され、資金調達をしやすくなるといえます。


ブランドイメージの向上

ESGは企業にとって取り組むべき課題であり、SDGs目標を達成するための手段といえます。


社会問題に取り組む企業として顧客に評価されやすくするため、信頼獲得につながることもメリットのひとつです。


ガバナンス強化

企業ガバナンスとは、健全化を目指した企業の管理体制や内部統治のことを指します。法律を破ることがないよう、企業自身が内部の監視や統制に注力し体制を整えることを、ガバナンス強化といいます。


ガバナンスを強化することで、健全化に向けた組織や仕組みが作られ、不正防止につながるでしょう。


2030年に向けてSDGs導入に取り組もう

2030年に向け、あなたの会社でもSDGs導入に取り組みませんか。当社では企業のSDGs導入をサポートしています。

また、「無料事例集」も提供しており、社会課題解決に貢献しながら、会社の持続可能性を高められるSDGsのアイデアをお届けしています。


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ーこの記事を書いた人ー

堀田蔵人

COO

堀田 蔵人

(KURODO HOTTA)

1988年生まれ。東京都出身。

大学卒業後は伊勢丹グループ会社に入社。営業・事務・システム等の幅広い業務を経験する。29歳の時、さらに自分が成長できる環境を求めて、大学の同級生の豊泉が代表を務めるBuyingへ転職。Buyingでは、全国の中小企業のコスト削減支援を担当。約4年間で累計1億9,151万円の削減に成功する。現在はCOOとして、会社全体の業務を統括する。

社内ではWEB広告運用等を担当する傍ら、実務ではコスト削減支援のみならず、都内の大手社会福祉法人への顧問コンサルティングも行っている。

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