SDGsと化粧品業界の関連性とは?取り組みを行う企業も紹介!

2023/01/06 堀田 蔵人
SDGsと化粧品業界の関連性とは?取り組みを行う企業も紹介!

SDGsはさまざまな業界で取り組みが行われており、化粧品業界においても企業・消費者ともにSDGsを意識したい問題が多く存在します。

商品を製造し提供する企業はもちろん、商品を使用する消費者もSDGsを意識して購入を決める傾向があるのです。

本記事では、SDGsと化粧品業界の関連性を解説し、実際に取り組みを行っている企業を紹介します。

 

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CONTENTS

SDGsと化粧品業界の関連性

SDGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」の略で、2015年に国連サミットで策定された2030年までに達成したい国際目標です。世界が抱える環境・人権・社会問題の解決を目指し、17の目標と169のターゲットから構成されています。

2021年に経済産業省と日本化粧品工業連合会が「化粧品産業ビジョン」を策定し、日本の化粧品産業の強化と発展のために、今後の目指すべき方向性や具体的に取り組むべきことを挙げています(注1)。

化粧品産業を取り巻く環境変化の1つに「SDGs意識等の高まり」が挙げられており、商品選びだけではなく、企業選びにおいてもSDGsが重要視されているのです。

化粧品産業が成長し続けるために、SDGsへの取り組みは必要なものといえるでしょう。

SDGsと化粧品業界の関連性が高い目標

SDGsと化粧品業界の関連性が高い目標は、以下のとおりです(注2)。

  • 目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
  • 目標12「つくる責任つかう責任」
  • 目標13「気候変動に具体的な対策を」
  • 目標14「海の豊かさを守ろう」
  • 目標15「陸の豊かさも守ろう」

環境に配慮した製品・女性の活躍を支援するなど、積極的に取り入れていきたい目標が挙げられます。

目標5「ジェンダー平等を実現しよう」

ジェンダー平等を目指すためには、女性が活躍できる環境やジェンダーレス・ジェンダーフリーなど、性別に捉われない化粧品の普及に取り組むことが必要です。

また、化粧品は女性だけが使用するものという考えではなく、男性用コスメや男女問わず使うことができるジェンダーレス・ジェンダーフリー製品の開発、販売を進めていくことも目標達成に期待が持てる取り組みとなるでしょう。

目標12「つくる責任つかう責任」

環境負荷の少ない容器や原料・エネルギーの使用、使用後のリサイクル活動など、生産者・消費者ともに環境に配慮できる取り組みが必要です。

  • プラスチック使用量の削減
  • 再生可能エネルギーの使用
  • 廃棄ロスや廃棄時のCO2削減
  • 動物実験を行わない
  • 農薬や化学肥料を使用しない素材
  • 箱や容器にFSC認証紙を使用
  • リサイクル容器の再利用や再資源

化粧品に携わるすべての人が、限りのある地球の資源を大切にしましょう。

目標13「気候変動に具体的な対策を」

気候変動問題に対しては、製造時に再生可能エネルギーを使用し、環境負荷を減らす取り組みを行うことが大事です。

気候変動の原因は、温室効果ガスによる地球温暖化です。このまま地球温暖化が進むと、集中豪雨や猛暑など異常気象により、浸水被害や食糧不足が懸念されます(注3)。

製造時や輸送時にエネルギーとして使用されている化石燃料を、再生可能エネルギーにすることで温室効果ガスの削減につながります。

また、水と自然の微生物で二酸化炭素を分解する生分解性原料も、環境への負荷が少なく二酸化炭素削減に期待ができるでしょう。

化粧品には石油系成分が含まれているものが多くあります。オーガニック原料など植物由来の原料から作られているものを選ぶことで、石油が原因となる二酸化炭素や酸性雨の発生を抑えることができ、環境への負担軽減につながるのです。

目標14「海の豊かさを守ろう」

海洋汚染や水質汚染を防止するためには、プラスチックの使用量削減や紫外線吸収剤を使用しない取り組みが必要です。

環境問題の中でも深刻な海洋汚染の原因は、自然に分解されることがないプラスチックの流出です。海に流出したプラスチックは蓄積し続け、食物連鎖により魚から人間へと影響を及ぼします。

プラスチックの使用量を削減するために、容器やパッケージの見直し、リサイクルができる容器の開発が求められます。

また、紫外線吸収剤はサンゴ礁に悪影響を及ぼすため、紫外線吸収剤不使用の製品が環境保護につながるでしょう。

目標15「陸の豊かさも守ろう」

森林や生態系を守るためには、環境に配慮した資源の利用やオーガニック原料を取り入れることが大切です。

森林には生き物の住処、炭素の貯蔵や土壌保全などの役割を担っています。栽培に使用される化学肥料は、土の中の生態系を崩す原因になることもあります。

環境に配慮したものとして「FSC認証」に注目するとよいでしょう。「FSC認証」とは、適切に管理された森林から作られている製品の証明であり、化粧品の外箱に使用している企業も存在します。

また化学肥料を使用しないオーガニック原料は、環境に配慮できるだけではなく、肌への刺激も少なく、安心して使用できる特徴ももっています。

 

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化粧品メーカーのSDGs取り組み事例

化粧品メーカーのSDGsの取り組み事例を紹介します。

  • 資生堂
  • セザンヌ
  • ALBION(アルビオン)
  • 明色化粧品

各企業が商品の製造において、環境負荷を抑えるさまざまな取り組みを行っています。社会問題にも目を向け、自社で可能な活動を積極的に取り入れてSDGsの目標達成に貢献しています。

SDGsに取り組む際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

資生堂

資生堂は企業理念に基づき「人々が幸福を実感できる」サステナブルな社会の実現のために、本業を通じて社会問題の解決を目指しています。環境負荷を軽減する取り組みは、以下のとおりです。

  • CO2削減(再生可能エネルギーの導入)
  • 水の消費量40%削減
  • 廃棄物ゼロ(つけかえ容器や使用済み容器の回収)
  • サステナブルな製品の開発(サステナブルな容器包装や原料の使用)

社会への取り組みとしては、以下のことが挙げられます。

  • ジェンダー平等(ほぼ100%の女性社員が育児休業から復帰)
  • 人権尊重の推進
  • ウクライナの避難学生への支援
  • 医療従事者へのスキンケア化粧品の提供

資生堂は、今後の目標として男性の育児休暇取得率100%も目指しています。

セザンヌ

セザンヌは廃棄しやすくするために金属のピンを使わない容器を採用、プラスチックゴミを削減するために商品のパッケージを簡易包装するなど、環境に配慮した取り組みを行っています。

容器の無駄を出さないために、レフィル化の推進も行っています。容器を共通にし、互換性を持たせることで、製品を切り替える際、買い替えの必要がない工夫がされているのです。

また、UVケア商品には紫外線吸収剤を使用せず、肌と環境の両面に配慮しています。

ALBION(アルビオン)

ALBION(アルビオン)は環境に配慮した容器や原料を使用したり、生産工程における環境負荷の軽減などに取り組んでいます。

サスティナビリティに対して積極的に取り組むため、2019年にサスティナビリティの戦略を検討する会議体「アルビオンらしさの推進」を発足し、8つのプロジェクトを立ち上げています。

持続可能な未来のため、職場環境の整備、お客様や取引店に向けた対応、品質や環境へのこだわり、社会貢献活動など、事業課題と社会課題を照らし合わせ、重要性が高いことに力を注いでいます。

明色化粧品

明色化粧品はゴミの削減やプラスチック使用料の削減など、サスティナビリティを意識した取り組みを推進しています。

2020年に岡山工場において「ゼロ エミッション」を達成させ、廃棄物すべてのリサイクル・リユースを可能にしています。「ゼロ エミッション」とは、発生する廃棄物を限りなくゼロにすることを目指し、資源を最大限に活用しながら、持続可能な経済活動や生産活動を両立させる取り組みです。

「スマート容器の実現」として、シュリンクフィルムからシールラベルに切り替えることで、プラスチックの使用量において約50%も削減することに成功しています。

SDGsを意識した化粧品業界が注目される!

SDGsの達成には企業の力が必要とされるため、化粧品業界も積極的に取り組むことで貢献できます。SDGsを意識している消費者に注目されるため、他社との差別化にもつながります。

弊社はSDGsコンサルティングサービスを行っております。ぜひご活用ください。

 

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参考(出典):

注1 化粧品産業ビジョン|化粧品産業ビジョン検討会

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/bio/cosme/cosme_vision2021.pdf

注2 持続可能な開発目標(SDGs)報告2022|国際連合広報センター

https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/

注3 おしえて!地球温暖化|環境省

https://www.env.go.jp/content/900441920.pdf


ーこの記事を書いた人ー

堀田蔵人

COO

堀田 蔵人

(KURODO HOTTA)

1988年生まれ。東京都出身。

大学卒業後は伊勢丹グループ会社に入社。営業・事務・システム等の幅広い業務を経験する。29歳の時、さらに自分が成長できる環境を求めて、大学の同級生の豊泉が代表を務めるBuyingへ転職。Buyingでは、全国の中小企業のコスト削減支援を担当。約4年間で累計1億9,151万円の削減に成功する。現在はCOOとして、会社全体の業務を統括する。

社内ではWEB広告運用等を担当する傍ら、実務ではコスト削減支援のみならず、都内の大手社会福祉法人への顧問コンサルティングも行っている。

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